スイスの物価は世界一高いと言われますが、実際に訪れてみると、あながち間違いではない——なんなら正しい、と感じました。特に今のレートでは、日本円に換算すると何もかもが約2倍。計算は楽ですが、あえて計算しないほうがいいと思います。じゃないと、旅行中ずっと値段ばかり気になって楽しめないからです。
ただ、そんなスイスでもスーパーはそこまで高くありません。外食が驚くほど高い一方で、スーパーを上手に使えば旅費はぐっと抑えられます。この記事では、実際にスイスのスーパーを歩いて感じた価格の実態と、旅行者のための活用・節約術をご紹介します。
なお、今回私が主に滞在したのはスイスのドイツ語圏(チューリッヒやツークのあたり)です。スイスは地域によって公用語が異なり、ドイツ語圏・フランス語圏・イタリア語圏に分かれます。この記事に出てくる挨拶や表記はドイツ語圏のものなので、フランス語圏(ジュネーブなど)を予定している方は言葉が変わる点にご留意ください。
*本記事の価格は、1CHF(スイスフラン)≒200円(2026年7月時点)で換算しています。レートは変動するので、あくまで目安としてご覧ください。

この記事でわかること
- スイスの2大スーパーと、その特徴
- 営業時間の注意点(特に日曜!)
- スーパーで実際に買ったものの価格
- レジ・支払いの流れと、現地で戸惑わないためのコツ
- 外食とスーパーの賢い使い分け
スイスの2大スーパー:Coop と Migros
スイスのスーパーは Coop(コープ) と Migros(ミグロ) の2大チェーンが基本です。このほかに Denner(デナー)、Aldi(アルディ)、Lidl(リドル)などもあります。
CoopとMigrosはスイス系列、Aldiはドイツ系列なので、価格帯や品揃えに違いがあります。全体としてはMigrosのほうがやや手頃と言われ、スイス在住の叔母も「Migrosのほうが少し安いよ」と話していました。品揃え重視のCoopと手頃なMigros、その日の目的で使い分けるのが現地流です。とはいえ輸入品も多く、カップ麺のような日本でおなじみの商品もスーパーで見かけます。
ひとつ知っておきたいのが、Migrosではお酒・タバコを売っていないこと。これはたまたまではなく、創業者の理念で全店的に酒類・タバコを扱わない方針だからです。スイスワインを飲んでみたいと思ってMigrosに行っても置いていないので注意してください。お酒を買いたいときは、CoopやDenner、専門店へ。
営業時間の注意点──日曜は要注意
営業時間の目安は、平日が朝〜19時頃、土曜は短縮営業。そして最大の注意点が、日曜は基本お休みだということです。
日曜に開いているのは、大きな駅構内や空港のスーパーだけ。うっかり日曜に食料を調達しようとすると詰んでしまいます。土曜のうちに買っておくか、日曜は外食にするのが安全です。駅構内の店は営業時間が長く日曜も開いているので、旅行者の逃げ道として覚えておくと安心です。
お店の場所については、だいたいどの駅の近くにも一軒はスーパーがあります。移動の拠点になる駅を起点に探すと見つけやすいですよ。
スーパーで買えるもの・価格帯
水は500mlで150〜200円ほど、ジュースは500mlで300〜500円ほど。日本と比べると高く感じますが、レートで倍になっていることを踏まえると、スーパーに限れば物価がバカ高いという印象ではありません。

ちなみに、水は水道水が飲めます。スイスの水道水は美味しく、そのまま飲めるので、給水するのが一番の節約になります。ただし冬は冷たくて快適な一方、夏はぬるくなりがちなのはご愛嬌。
飲みもの類
物価が高い国でも、飲みものにはこんなに手頃なものも。高いだけではない一面です。価格は1CHF≒200円換算。
| 商品 | 価格(CHF) | 円換算 | メモ |
|---|---|---|---|
| M-Budget エナジードリンク | 0.40 | 約80円 | 最安ブランド |
| Aproz 炭酸水(500ml) | 0.75 | 約150円 | 自社ブランド |
| evian 水(500ml) | 1.10 | 約220円 | 輸入ブランド |
| Rugenbräu ラガービール(330ml) | 1.45 | 約290円 | スイスのビール |
| Ramseier アップルジュース 微炭酸(500ml) | 1.50 | 約300円 | スイス定番 |
| Andros オレンジジュース(250ml) | 2.95 | 約590円 | 果汁系 |
| Emmi カフェラテ(230ml)セール時 | 2.15 | 約430円 | カフェよりは安い |
お惣菜・パン・中食を活用する
スーパーには、お惣菜・パン・サラダ・サンドイッチなどが種類豊富にそろっています。これを買って外のベンチで食べるのがおすすめです。
惣菜・軽食類
外食が高いスイスでも、スーパーの惣菜やパックなら手頃。湖畔のベンチで食べるのにぴったりです。1CHF≒200円換算。
| 商品 | 価格(CHF) | 円換算 | メモ |
|---|---|---|---|
| HOT KITCHEN ローストチキン(腿・約130g) | 3.45 | 約690円 | グラムによって価格が変わる |
| Saison ヨーグルト(1個) | 0.90 | 約180円 | デザートに・日本と同程度 |
| Migros サンドイッチ | 3.50 | 約700円 | 種類豊富 |
| Betty Bossi サラダ | 5.50 | 約1,100円 | グリーンレタス等 |
| ピザ(Piaza・1枚 約250g) | 6.35 | 約1,270円 | |
| Betty Bossi 温菜(リゾット等・400g) | 9.95 | 約1,990円 | レンジ調理 |
| Sushi Mania 寿司パック | 13.90 | 約2,780円 | 250g前後 |
| Sushi Mania ポキ丼 | 14.95 | 約2,990円 |

特に湖や公園に行けばベンチがたくさんあり、夏は夜21時頃まで明るく、夕方になると気温もちょうど良くなって本当に気持ちいい。ツークの湖畔なども、まさにこの過ごし方にぴったりの場所です。
節約のコツ:廉価ブランドを狙う
スーパーには自社の廉価ブランドがあり、これが安いです。Migrosなら M-Budget、Coopなら Prix Garantie。パッケージにスーパーの名前が入っている商品は安い、と覚えておくと選びやすくなります。
この廉価ブランドに、ピクニックと給水を組み合わせれば、食費はかなり抑えられます。
スイスのスーパーは、日常の買い物だけでなくお土産探しにも便利です。とくに廉価ブランドは、安く数を揃えられてスーパー名入りのパッケージも現地感があり、ばらまき土産にぴったり。実際にCoopで板チョコやハーブティー、ポテトチップスを買って日本へ持ち帰った感想は、夏のスイス土産におすすめの商品と注意点でくわしく紹介しています。
レジ・支払いの流れ
野菜・果物は自分で計量する
バーコードのない量り売りの野菜・果物は、売り場の秤にのせて計量し、シールを貼る仕組みです。値札にkg単価が書かれているタイプが対象で、最初からパック詰めでバーコードが付いているものは計量不要です。
有人レジの流れ
まず、商品を動くレール(ベルトコンベア)の上に置きます。このとき、前の人が仕切り棒を置いているか確認して、そこから自分の商品を置きます。置き終わったら、レールの前あたりにある仕切り棒で、次の人との間を区切ります。
自分の番が来たら、まず挨拶を。スイスドイツ語で「Grüezi(グリュエツィ)=こんにちは」です。これをしないと、かえって変な人になってしまいます。あとは、スキャンが終わったものから自分の袋に詰めていき、支払い方法を伝えて、最後にまた挨拶。
有人レジの仕組みは、前の人の動きを見れば掴めるので、そう難しくはありません。
ひとつだけ戸惑ったのが、会計後のこと。挨拶以外のことをドイツ語で言われたら、レシートが要るか聞かれているかもしれません。私も「え?」となりましたが、レシートの要否(Quittung?/クヴィットゥング? など)を確認されていました。会計後に短く聞かれたら、だいたいレシートのこと、と思っておけば落ち着いて対応できます。
セルフレジ
セルフレジ(Subito など)は、表記がドイツ語のことが多いですが、直感で操作すればなんとかなります。「はい(Ja/ヤー)/いいえ(Nein/ナイン)」くらいは何となくわかりますし、店によっては言語を英語に切り替えられます。
注意したいのは、セルフレジは現金が使えないことが多いこと。カード類が必須です。現金で払いたい場合は、セルフレジではなく有人レジを利用しましょう。
支払い方法
支払いはクレジットカードが基本です。タッチ決済(カードやApple Pay/Google Payをかざすだけの支払い)にも広く対応していて、少額ならこれが一番ラク。
なお、スイスには Twint(トゥウィント) というスマホ決済もありますが、スイスの銀行口座が必要なので、旅行者は基本的に使えません。旅行者はクレジットカードかタッチ決済でOKです。
ただし、タッチ決済は一定額を超えると使えないことがあります。私は57CHF(当時のレートで約1万1千円)の買い物でタッチが通らず、店員さんに教わってカードを差し込んで支払いました。まとまった金額になると、タッチではなくカードを挿して暗証番号(PIN)を入力する必要が出てくるようです。
ここで大事なのが、CHFの数字は小さく見えても、円換算では約2倍だということ。57CHFも、実際は1万円超えの買い物です。だからこそ、次の3つを押さえておきましょう。
- カード本体を必ず持ち歩く(タッチ対応スマホがあっても、物理カードは手元に)
- 暗証番号(PIN)を渡航前に確認しておく
- まとまった買い物では、差し込み+PINになる前提でいる
レジ袋はエコバッグで
レジ袋は基本有料です。日本からエコバッグを持参するのがおすすめです。
なぜスイスの物価は高いのか──そして、どう割り切るか
スイスでは、働く人にしっかり還元しようという考えが根づいていて、サービスを受ける場面(ホテルやレストランなど)は価格が高くなりやすいです。反対に、スーパーはサービスを受けない分、価格が抑えられやすい。そう考えると、物価が高いことにも少し納得しやすくなります。
とはいえ円安もあり、旅行者にはやはり厳しいのが現実。だからこそ、外食はここぞという時だけにして、スーパーを活用するのがおすすめです。
日本人の感覚だと、外食の値段が高いぶん、どうしても味に期待してしまいます。ただ正直なところ、スイスの外食が日本の金銭感覚で味に見合うことは、なかなかありません。期待しすぎないことが大事です。その点、スーパーのお惣菜は比較的安めで、ある程度美味しいので、私はこちらのほうが納得しやすかった気がします。
もっと長く滞在するなら:自炊という手も
もっと長く滞在するなら、自炊という手もあります。ホテルではなく、キッチン付きの宿(コンドミニアムタイプ/Airbnbなどで探せます)を借りれば、スーパーで買った食材で自炊でき、外食が続くことを思えば食費もぐっと抑えられます。
味付け済みの肉・魚やカット済みの野菜、それに割と美味しい冷凍ポテトもあるので(このあたりの品揃えは店舗によりますが)、スイスの食材を手軽に楽しめるという意味でも、おすすめの方法です。
そして自炊のいちばんの魅力は、スイスならではのチーズを心ゆくまで楽しめること。ホテル泊でチーズを味わおうとすると、1泊では食べきれず持ち運ぶことになりますが、夏は特に柔らかいものほど品質が変わりやすく、持ち歩きには向きません。かといってレストランのチーズプレートは割高。おまけに日本へ持ち帰ろうとすると動物検疫の対象になり、お土産にするにはなかなかハードルが高いのです。その点、現地で買ってその場で食べる分には、何の問題もありません。
スーパーには、驚くほど豊富な種類のチーズが並んでいて、値段は100gあたりで表示されています。スイス産からイタリア産まで、数種類を少しずつ買い集めて、パンやワインと一緒に楽しむ——ホテル泊では味わいにくい、この贅沢ができるのが自炊の醍醐味です。

チーズとワイン
酪農国スイスはチーズが豊富で、地元産ワインとの相性も抜群。ホテル泊では味わいにくい組み合わせを、現地で気軽に楽しめます。価格は1CHF≒200円換算。
チーズ(100gあたり・通常価格)
| チーズ | 100gあたり(CHF) | 円換算 | 産地 |
|---|---|---|---|
| PM Entlebucher 山のチーズ | 2.45 | 約490円 | スイス |
| Bio エメンタール AOP マイルド | 2.55 | 約510円 | スイス |
| Pecorino Romano | 3.30 | 約660円 | イタリア |
| Kaltbach エメンタール AOP | 3.30 | 約660円 | スイス |
| Sbrinz AOP 36ヶ月 | 3.40 | 約680円 | スイス最古級のハードチーズ |
| Parmigiano Reggiano DOP 18ヶ月 | 3.55 | 約710円 | イタリア |
| Appenzeller 山羊のハードチーズ | 4.50 | 約900円 | スイス |
白ワイン(1本 750ml)
| ワイン | 1本(CHF) | 円換算 | 産地・品種 |
|---|---|---|---|
| Federweisser(Edition Stauffacher) | 9.95 | 約1,990円 | チューリッヒ産・ピノ・ノワール |
| Steinböckler リースリング・シルヴァーナー | 15.50 | 約3,100円 | グラウビュンデン産 |
まとめ
スイスは確かに物価が高い国ですが、スーパーを味方につければ、旅費はぐっと抑えられます。廉価ブランドを選び、水道水で給水し、お惣菜を湖畔のベンチで楽しむ——それだけで、スイスの日常に溶け込んだ節約旅ができます。
外食は「ここぞ」という時に絞って、あとはスーパーで賢く。それが、物価高スイスを楽しむいちばんのコツです。
スーパーは攻略できたので、次は旅費の全体像を。外食の相場やイタリアとの比較、1日の食費の目安は、こちらの記事でまとめています。
→ 【2025年】スイスの物価はどれくらい?外食・スーパー・イタリアとの違いを実体験で解説
食費はスーパーで抑えられますが、スイスでもう一つ大きいのが交通費。鉄道・バス・船が乗り放題になるスイストラベルパスの買い方は、こちらの記事にまとめています。
→スイストラベルパスの買い方|SBB公式サイトで購入する手順を解説