ローマに着いたのに、入国審査がない——。
スイスのチューリッヒからイタリアのローマへ、わずか1時間半のフライト。到着後に空港内を歩いていると、気づけばそのまま外に出ていました。パスポートを見せることも、列に並ぶことも一切なく。
「あれ、これで本当に入国できてるの?」
ヨーロッパには「シェンゲン協定」という、加盟国間の移動を国内線のように自由にする仕組みがあります。頭では理解していましたが、実際に体験すると想像以上の衝撃でした。
今回は2025年2月に体験したチューリッヒ→ローマのフライトレポートに加え、2026年7月の再訪で分かった変化も交えながら、ヨーロッパ周遊を計画中の方にぜひ知っておいてほしい現地のリアルをお伝えします。

ローマには2つの玄関口:メイン空港はFCO
ローマには、主に2つの国際空港があります。
フィウミチーノ空港(FCO):国際線のほとんどが到着するメイン空港。正式名称はレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港。
チャンピーノ空港(CIA):LCCが中心の小規模空港。
フィウミチーノ空港はイタリア最大の空港で、日本やヨーロッパ主要都市からの国際線が多く到着します。到着ロビーは広く案内表示も多いので、初めての方でも比較的移動しやすい空港です。
チューリッヒからローマへ!今回のフライト情報
チューリッヒ空港からローマのレオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港へ。
| 出発地 | 到着地 | 出発時刻 | 到着時刻 | 所要時間 |
|---|---|---|---|---|
| ZRH (チューリッヒ空港) |
FCO (ローマ空港) |
7:20 | 8:50 | 約1時間30分 |
片道運賃:約2万4000円(2025年2月後半)
予約はスイス航空の公式サイトから。運賃は到着時間帯によっても差があり、朝早い便の方が安めの傾向でした。価格の変動をチェックしていて、出発の2ヶ月前に値下がりしたタイミングで購入しました。
【出発】チューリッヒ空港の驚きの近さと利便性
街中から電車で10分!アクセス抜群の立地
チューリッヒ空港(Zürich Flughafen)は、スイス最大の国際空港。スイス最大の駅チューリッヒ中央駅(Zürich HB)から電車でわずか10分という抜群のアクセスです。7:20発の便に対し、始発の電車で5時過ぎに空港へ到着するようにしました。
保安検査とゲートまでの時間感覚
保安検査は体感30分ほどで通過できましたが、これは2025年2月・冬の朝早い便で空いていたときの感覚であり、正確に計測したものではありません。チューリッヒ空港の公式情報では、チェックインエリアからゲートまで最大30分、シェンゲン圏内便であれば出発の2時間前到着が目安とされています。時期や時間帯によって混雑具合は変わるので、この目安を基準に動くのが安心です。
ゲートの構造を知っておくと安心
チューリッヒ空港はゲートがA・B・D・Eの4エリアに分かれていて、実は行き先によって使うエリアが決まっています。
- シェンゲン圏内の便:ゲートA・Bから出発
- シェンゲン圏外(アジアなど長距離便)の便:ゲートD・Eから出発
ゲートEエリアへは「Skymetro」という無人の連絡電車(愛称”ハイジ・トレイン”)で移動する必要があり、乗り換えを含めるとゲート間で10分以上かかることもあります。今回はシェンゲン圏内のイタリア行きだったのでゲートA・Bエリアで完結し、この電車移動はなし。ゲート到着まで徒歩だけで20分前後で着きました。長距離のアジア便を利用したことがある方は、あの遠いゲートまでの移動をイメージするかもしれませんが、ヨーロッパ域内の移動ではその心配はいりません。
保安検査後は割高
空港内には土産屋や軽食店が揃っています。保安検査後のエリアで水とオレンジジュースを買ったところ、それぞれ3.95スイスフラン。しっかり空港価格でした。「チューリッヒ空港のスーパーは街中のスーパーと変わらない」という情報を見かけることもありますが、少なくとも保安検査後は割高だと思って予算を見ておいた方がよさそうです。
【体験】離陸前からイタリア全開!機内の様子
ゲート前で待っていると、スマートカジュアルを完璧に着こなしたイタリア人グループに遭遇。朝早い便で空港内は人が少なく静かでしたが、私が待っていたゲート前だけすでにイタリア。静かなロビーに響く陽気なイタリア語に、「あ、これからイタリアに行くんだ」とワクワクしました。
離陸後もその勢いは衰えず、朝7時台にもかかわらず機内で「酒盛り」が始まったのには驚きました。1時間ちょっとのフライトなのに、CAさんが何度も往復していたのが印象的でした。
静かなスイスから陽気なイタリアへ。空港と機内の段階ですでに「観光」が始まっている気分になれました。
【到着】最大の衝撃!入国審査がないカルチャーショック
到着後、入国審査はどこかなと空港内を歩いていると「出口(Exit / Uscita)」と書かれた看板と矢印が見えました。矢印の方向に進んでいくと、そのまま外に出られてびっくり!
実はスイスもイタリアも「シェンゲン協定」の加盟国。この協定により、加盟国間の移動は国内線のような感覚で移動できるのです。
EU域内の移動は理解していましたが、実際に経験するのは初めてだったので「本当にこのまま外に出ていいの?」とかなり戸惑いました。預け荷物もなかったので、外まであっという間でした。
そもそもシェンゲン協定って何?日本人も対象なの?
-
スイスはシェンゲン協定に加盟していますか?
-
はい、加盟しています。ただしスイスはEUには加盟していません。「EUとシェンゲン協定は別物」というのは、ヨーロッパ旅行前に知っておくと役立つ豆知識です。
シェンゲン協定とは、ヨーロッパの29カ国(2026年時点)が加盟する、域内の国境審査を原則廃止した取り決めのことです。加盟国間の移動は「事実上ひとつの国の中を移動している」ような扱いになるため、国をまたいで移動するたびにパスポートを見せて列に並ぶ、ということが必要ありません。

ポイントは、最初に入国した国で審査を受ければ、その後の加盟国間の移動はフリーという点。今回の旅程でいえば、スイスに入国した時点で審査は完了しているので、イタリアに着いても改めて審査を受ける必要がないのです。
「でも日本人も対象なの?」と思う方もいるかもしれません。答えはYESです。日本はシェンゲン圏へのビザが免除されているため、観光などの短期滞在(180日間のうち最大90日)であれば、日本人も加盟国間の移動は原則審査なしで自由に行き来できます。
実際の入国審査:何を聞かれる?
「そもそも入国審査で何を聞かれるの?」「厳しいの?」と不安な方も多いと思うので、実際の体験をお伝えします。
2025年2月にスイスに入国した際、聞かれたのは「滞在日数」と「滞在場所」のみ。特に厳しい質問攻めにあうことはなく、体感2〜3分で終わりました。ちなみに滞在先の地名を言い間違えて指摘されたこともありましたが、審査官はずっと真顔のまま淡々と対応。多少言い間違えても、慌てず答え直せば問題なく通過できます。入国審査官に愛想の良さを期待しない方がいいかもしれませんが、それも含めて「そういうもの」と思っておくと気が楽です。
2026年7月に再訪した際も、質問内容は同じ(滞在日数・滞在場所)でしたが、新たに指紋と顔の生体情報登録が追加されていました。登録も含めて体感5分程度です。これは2025年10月から段階的に導入されているEES(出入国管理電子システム)によるもので、今後スイス・シェンゲン圏に入国する方はこのステップが加わることを想定しておくとよさそうです。
また、2026年7月はヨーロッパの夏休みシーズンだったこともあり、入国審査は少し混んでいて、着陸してから空港の駅(Zürich Flughafen駅)に着くまで45分前後かかりました。2025年2月の冬の閑散期とは体感がかなり違ったので、渡航時期によって余裕を持ったスケジュールを組んでおくと安心です。
パスポートは不要じゃない!携帯必須な理由
⚠️ パスポートは必ず携帯
入国審査がなくても、抜き打ちで身分確認が行われることがあります。「どうせチェックされないから」とホテルに置いてきてしまうと、思わぬトラブルになることも。「国境審査がない=身分証明が一切不要」ではないので、パスポートは必ず持ち歩きましょう。
スイスの湖で足漕ぎボートを借りる際、デポジットとしてID提示を求められました。もしパスポートをホテルに置いてきていたら、借りられなかったか、取りに戻る羽目になっていたはずです。
これから行く人は要チェック:ETIAS(エティアス)が始まります
これまで日本人はビザなしでシェンゲン圏に入れましたが、2026年後半(10〜12月ごろ)からは「ETIAS」という事前のオンライン渡航認証が必要になる予定です。アメリカの「ESTA」やイギリスの「ETA」と同じ仕組みで、渡航前にネットで申請して認証を取っておく必要があります。
申請手数料は20ユーロ、一度取得すれば有効期限は3年間。さらに先行して、2025年10月からは出入国を電子的に記録する「EES」も段階的に導入されています。今回の再訪で実際に指紋・顔の登録を体験したように、これから渡航する方はこのステップが増えることを踏まえてスケジュールに余裕を持たせておくと安心です。出発前に最新情報を確認しておきましょう。
まとめ:チューリッヒ→ローマ、1時間半でここまで違う
静粛なスイスの空気から、陽気なイタリアへ。フライト自体はわずか1時間半ですが、ゲート前から機内、到着まで、旅の変化を存分に楽しめるフライトでした。
シェンゲン圏内の移動は入国審査こそありませんが、パスポート携帯や、時期によって変わる混雑・所要時間感覚は事前に知っておくと戸惑わずに済みます。ヨーロッパ周遊を計画中の方は、ぜひ頭に入れておいてください。