スイストラベルパスは元が取れる?8日間フレックスで全区間を定価計算して検証
スイストラベルパスを買うか迷っている人が一番知りたいのは、「この値段を払って、本当に元が取れるの?」ではないでしょうか。
結論から言うと、元は取れやすいです。スイスの交通費はかなり高いから。私は8日間のフレックス(2等・大人1名、459 CHF)で、実際に 88.50 CHF お得になりました。
ただし全員に当てはまるわけではありません。山岳鉄道メインだとトントン程度に収まったり、半額カードなど別の方法が得なこともあります。
この記事では、私が実際に乗った8区間を「個別に買ったらいくらか」全部定価で計算してパス代と比較し、本当に元が取れたのかを検証します。あわせて、自分の旅程で同じ計算をする方法、検証して初めて見えた3つの落とし穴、向く人・向かない人もお伝えします。
この記事でわかること
- スイスの交通費はどれくらい高いのか
- 実例検証:実際の全区間を定価計算していくら浮いたか
- 検証して見えた3つの落とし穴
- 実践編:自分の旅程で計算する方法
- 代替案:個別チケット/ハーフフェアカードという選択肢
- 判定:スイストラベルパスが向く人・向かない人
スイスの交通費は本当に高い
そもそもスイスの交通費がどれくらいの水準なのかを押さえておきます。
スイスの鉄道運賃は、日本の感覚からするとかなり高めです。特に長距離の都市間移動や、山岳鉄道・観光路線になると、1回の移動で数千円〜1万円を超えることも珍しくありません。私の旅程でも、Baar⇄Lugano(片道1時間40ほどの距離)は往復122 CHF、片道でも約61 CHFかかりました。さらに山岳鉄道や観光列車も別格です。
他の日数、価格でも同じように『価格÷日数』で計算できます。
①:実際にいくら浮いたか(全区間を定価計算)
私の旅程で乗った区間を、すべて「パスを使わなかった場合の定価」で計算しました。これは、旅行中に個別のチケットで購入したらいくらになるか、SBBアプリで確認して記録しておいたものです。
| 区間 | 種別 | 片道/往復 | 定価(CHF) |
|---|---|---|---|
| 1Baar ⇄ Lugano | 列車 | 往復 | 122.00 |
| 2Baar ⇄ Bern | 列車 | 往復 | 122.00 |
| 3Luzern ⇄ Baar | 列車 | 往復 | 29.60 |
| 4Blickensdorf ⇄ Zürich HB ⇄ Konstanz最寄りのバス停からコンスタンツまで | 列車 | 往復 | 97.20 |
| 5リギ鉄道行き Baar→Rigi Kulm/帰り Rigi Klösterli→Baar | 山岳鉄道 | 往復 | 106.80 |
| 6チューリッヒ湖クルーズ+列車 | 船・列車 | ― | 31.30 |
| 7シュトース(ケーブルカー) | 登山電車 | 片道 | 11.60 |
| 8ツーク・カーム クルーズ+列車 | 船・列車 | ― | 27.00 |
| 小計 | 547.50 |
定価で合計すると 547.50 CHF。これをパス代459 CHFと比べると—差額は+88.50 CHF。 定価なら547.50 CHFかかる移動を、459 CHFのパスでカバーできたので、元は取れたことになります。
特に長距離の都市間移動(ルガーノやベルンへの往復)と、リギ山などの山岳鉄道・観光路線が大きく貢献しました。
山岳エリアの実例
リギ山(Rigi)
無料:山頂(Rigi Kulm)までの山岳鉄道はパスで全額カバー
注意:ルートや別のロープウェイ/ケーブルカーによっては半額(50%引き)
シュトース(Stoos)
無料:上の村(Stoos村)までのケーブルカーはパス対象
注意:村から上の展望台やハイキングコースへのリフトは対象外、別途チケットが必要(徒歩なら不要)
検証して見えた3つの落とし穴
実際に計算してみて初めて気づいた、見落としやすいポイントが3つあります。ここを知らずに試算すると、金額を大きく間違えたり、当日困ったりするので丁寧に説明していきます。
落とし穴①:SBBアプリの「from ◯◯ CHF」は最安値表示
SBBアプリで検索結果に表示される「from ◯◯ CHF」という価格は、ハーフフェアカード(半額カード)等を適用した最安値であることが多いです。そのまま鵜呑みにすると、カードなしの定価は倍近くになることがあります。
対策は簡単で、最初の画面の数字だけを見ずに、必ず購入手続き画面まで進んで「定価(Full Fare)」の金額を確認すること。ここを見落とすと、「個別チケットのほうが安い」と誤判定してしまいます。パスと比較するときは、必ず定価どうしで比べてください。
落とし穴②:山岳鉄道の割引率はバラバラ
スイス政府観光局の案内でも「主な山岳交通の半額割引」とまとめて書かれていますが、実際には、割引率は路線によってバラバラです。無料になる路線、25〜50%割引になる路線、パス対象外で全額自己負担の部分もあります。
私が乗ったリギ鉄道やシュトースでも、区間によって割引の効き方が違いました。試算するときに「山岳鉄道は全部半額」で計算すると、実際より安く見積もってしまうので注意です。
落とし穴③:パノラマ列車は乗車券は含むが座席指定は別
氷河急行(グレッシャー・エクスプレス)やベルニナ特急、ゴールデンパスエクスプレスといったパノラマ列車は、事前の座席予約が必須です。
ここで混乱しやすいのが、日本の「特急券」との違い。日本だと特急券に座席がついてきますが、スイスでは「乗る権利(乗車券)」と「座る場所(座席指定)」が別売りです。スイストラベルパスがカバーするのは乗車券部分だけで、座席指定は別途手配が必要。「パスがあるから当日ふらっと乗ればいい」とはいかないので、乗る予定があるなら早めの座席予約を忘れずに。
②:自分の旅程で計算する方法
ご自身の旅程で元が取れるかどうかは、以下の手順で簡単に確認できます。
- SBB公式アプリで、乗る予定の区間の運賃を一つずつ調べる
- 全部足す
- 買う予定のパス価格と比べる
合計がパス価格を上回れば、元が取れます。そして「動く日が多い・長距離が多い」ほどパスが有利になります。
私の場合、1日あたりの目安である「57 CHF」を超える日が多く見込まれたため購入を決定しました。逆に、空港からホテルへの移動だけの日や、近場だけで10〜20 CHF程度しか使わない日は、あえてパスを使わず個別チケットで移動しました。
個別チケットという選択肢について
「毎回個別チケットで移動するのはどう?」という疑問もあると思います。
1つの街に滞在するスタイルなら、個別チケットで十分です。ただし中・長距離が多いと、毎回買うのはかなり高額。奥まった地域だと片道1万円超えもざらです。
スイスの個別チケットは2種類
ゾーン制チケット:チケットに書かれたゾーン内なら電車もバスも乗り放題。片道は一定時間、往復なら1日、その範囲がまるごと使えます。日本にない仕組みで、私も最初は戸惑いました。

行きたい場所のゾーン番号は、駅に貼ってあるゾーンマップか、各交通連盟の公式サイトで調べられます。

point-to-pointチケット:出発地から目的地までを区間指定で買うタイプ。遠距離は基本的にこちらで、乗り放題ではなく1回券です。

近距離はゾーン制で乗り放題、遠距離はpoint-to-pointで区間指定。この2つだけ覚えておくと迷いません。ゾーン制もアプリで買えるので、対象範囲ならバスも活用を。
向く人・向かない人
正直に、損するケースも含めて書きます。
向いている人は、
- 移動距離・回数が多い人
- 都市観光や美術館・博物館巡りをメインで楽しみたい人(多くの施設が無料)
- 電車だけでなく船や山岳鉄道も幅広く乗りたい人
向かない人は
- 1つの拠点に長期滞在し、あまり移動しない人
- レンタカー移動がメインの人
- 移動回数が極端に少ない人
別の選択肢:ハーフフェアカード(Half Fare Card)
「山岳鉄道に何度も乗る予定がある」という方は、ハーフフェアカード(約120 CHFで交通機関が半額になるカード)+個別チケットの組み合わせの方が安くなる場合があります。山岳鉄道はパスだと無料にならず「25〜50%割引」にとどまることが多いのに対し、ハーフフェアカードなら一律半額になるためです。購入前に双方で試算してみることをおすすめします。
旅費全体の交通費
まとめ
今回の検証では、スイストラベルパス(8日フレックス・459 CHF)の利用で 88.50 CHF お得になりました。
スイスの交通費は世界的に見ても高額なため、都市間移動や主要観光地をアクティブに巡る旅であれば、元を取るのは決して難しくありません。
パスの購入方法は【スイストラベルパスの買い方|SBB公式サイトで購入する手順を解説】、実際の使い方は【スイストラベルパス・フレックスの使い方|有効化の手順と注意点】にまとめています。あわせてどうぞ。