ユーレイルパスは買って元が取れるのか。購入前、私も何度もシミュレーションしながら迷っていました。
この記事では、チューリッヒを拠点にスイス国内とイタリア(ローマ・フィレンツェ・ヴェネツィア)を周遊した実体験をもとに、実際の区間ごとの料金試算と、使ってみて感じたメリットをまとめています。
結論からいうと、2カ国以上をまたぐ旅ならユーレイルパスは十分に買う価値があると感じました。その理由を、金額と使い心地の両面からお伝えします。
ユーレイルパスとは
ユーレイルパスとは、ヨーロッパの鉄道を一定期間自由に乗れるパスです。 33カ国の鉄道に対応したグローバルパスのほか、使いたい国だけを選べるタイプもあります。 有効期間内であれば追加料金なしで何度でも乗れるため、複数の国や都市をまわる旅に向いています。
(※高速列車に乗る場合は、別途座席指定券が必要です。詳しくは後述します。)
購入はEurail公式サイトのほか、KlookやKKdayなどのアクティビティサイト、日本国内の旅行代理店でも可能です。
私が購入したのはグローバルパス15日間・2等・モバイルパスで、税込USD $291、当時のレートで約45,000円でした。 ユーレイルパスには27歳以下を対象としたユース料金があり、通常より安く購入できます。 私が買ったときはキャンペーンの25%割引も重なり、かなりお得なタイミングでした。年齢が条件に当てはまる方は、購入前にぜひ確認してみてください。
イタリア国内だけなら個別チケットのほうが安い場合もあります。ただ、スイス×イタリアのような2カ国周遊では、金額以上に「予定変更のしやすさ」や「トラブル時の精神的な余裕」がユーレイルパスの大きな魅力でした。
実際にいくら差が出た?料金試算
以下は、今回の旅でスイスとイタリアで実際に乗った区間をもとにした試算です。
ユーレイルパスを購入するか迷っていたとき、SBB(スイスの国鉄)とItalo(イタリアの私鉄)の公式サイトで旅程の区間を検索して、個別チケットがいくらになるか調べながら比較していました。実際には個別チケットは購入していないため、あくまで通常価格をもとにした参考試算です。
結果的に、ユース割引とキャンペーン割引が重なったタイミングで購入できたため、余裕で元が取れました。ユース(12〜27歳)とシニア(60歳以上)のどちらにも当てはまらず、割引もない時期だとトントンになる場合もあるかもしれません。
| 区間 | 個別チケット概算 | ユーレイルパス |
|---|---|---|
| チューリッヒ↔ルツェルン(往復) | 27 CHF(約4,600円) | パス代に含む |
| チューリッヒ↔Baar最寄り(往復×5) | 73 CHF(約12,400円) | |
| Baar最寄り↔Zug(往復) | 18.2 CHF(約3,100円) | |
| チューリッヒ〜St.Moritz方面(往復・概算) | 約180 CHF(約30,600円) | |
| ミラノ→チューリッヒ(片道) | 約43 CHF(約7,300円) | |
| スイス・国際区間 小計 | 約341 CHF(約58,000円) | |
| フレッチャロッサ3区間(イタリア国内) | 約17,000〜22,000円 | 座席指定券のみ 13€×4=約8,000円 |
| 合計目安 | 約75,000〜80,000円 | 45,000円+約8,000円=約53,000円 |
※CHFは1CHF=約170円で換算。個別チケットはSBB・Italo公式サイト調べの通常価格をもとにした試算。早割利用時はさらに安くなる場合あります。実際の価格は時期・購入タイミングにより異なります。St.Moritz方面はユーレイルパス所持者にとって特にお得な区間です。
ユーレイルパスと個別チケットを比較|イタリア鉄道で感じた違い
スイスには早割制度がないため、以下はイタリア国内の高速列車を中心とした比較です。
| 区間 | フレッチャロッサ 通常価格(Base) |
Italo 早割価格目安 |
ユーレイルパス |
|---|---|---|---|
| ローマ→フィレンツェ | 約€55(約9,000円) | €14.90〜 |
座席指定券のみ 約€10〜13 |
| フィレンツェ→ヴェネツィア | 約€40(約6,600円) | €14.90〜 |
座席指定券のみ 約€10〜13 |
| ヴェネツィア→ミラノ | 約€40(約6,600円) | €14.90〜 |
座席指定券のみ 約€10〜13 |
| 3区間合計 | 約€135(約22,200円) | €45〜 (変更・払戻不可) |
約€30〜39(約5,000〜6,400円) |
※€1=約165円で換算。フレッチャロッサの通常価格(Base)は当日・直前購入の目安。早割(Super Economy)利用時はさらに安くなりますが、変更・払い戻し不可。料金は時期・購入タイミングにより異なります。
安さを優先して変更しにくい切符を選ぶか、ある程度の金額を払って自由度を確保するか。私がユーレイルパスを選んだのは、予定変更への対応力とトラブル時の保険として考えたからです。
実際に使ってみて感じた違いをまとめると、こんな印象でした。
| 特徴 | ユーレイルパス(グローバル) | 早割チケット(個別購入) |
|---|---|---|
| 予定変更 | 柔軟。アプリで旅程を変えやすい(※指定席券は別途必要) | 不可、または高い手数料がかかることが多い。 |
| 遅延・運休 | 60分以上の遅延で補償申請が可能。(指定席の振替は現地窓口に相談) | 補償制度はあるが、手続きに手間がかかることも。(最安チケットは補償対象外の場合あり) |
| 精神的余裕 | 「動き方を変えられる」安心感がある | 「この便に乗れなかったら困る」という緊張感がある。 |
| 価格 | 一定。安くはないが予算を読みやすい | 早めなら安いが、直前は高くなりやすい。 |
個別チケットの場合、トレニタリアでは30分以上の遅延でチケット代の一部が補償される制度があります。ただし申請は列車到着の24時間後から受け付けとなるなど独自のルールがあり、対応はケースバイケースです。また最安の早割チケットは変更・払い戻し自体が不可のものも多く、注意が必要です。
ユーレイルパスの場合、万が一トラブルが起きても失うのは個別チケット代(数万円)ではなく指定席代(約2,000円)だけ。この差が、旅中の気持ちの余裕につながりました。
予定が最初から固まっていて数か月前から予約できるなら、個別購入のほうが安く済む可能性は高いです。特に最安を狙うなら私鉄Italoの早割がかなり強いです。ただし変更・払い戻しができないため、変更可能なオプションを追加していくと最終的にそこまで大きな差にならないことも。
ユーレイルパスを使うと、都市間移動のたびに大きな追加費用がかかりにくく、旅費全体を把握しやすかったです。→[イタリア周遊で実際にかかった金額を項目別にまとめています。]
どちらに当てはまる?
- ✓ とにかく最安を優先したい
- ✓ 予定が最初から完全に決まっている
- ✓ 変更の可能性がほとんどない
- ✓ 数千円の差で移動の自由度を上げたい
- ✓ 遅延や予定変更に備えたい
- ✓ 2か国以上をまたぐ移動がある
-
高速列車(フレッチャロッサ)も予約なしで乗れるの?
-
いいえ、別途「座席指定券」の購入が必要です。料金は区間によって異なりますが、目安として€10〜13前後(約1,500〜2,000円)です。
ここが最大の注意点です。パスを持っていても、フレッチャロッサに乗る際はEurailアプリまたは駅窓口で事前に座席指定券を購入する必要があります。
座席指定券は空席がある限り当日でも購入できますが、人気路線や繁忙期は売り切れることもあります。予定が変わった場合はなるべく早めに買い直すのがおすすめです。
そのため「完全に自由自在」というよりは、「指定席代さえ買い直せば、どの便にも振り替えられる柔軟性がある」と考えるのが正確です。
- ストライキや遅延で指定便に乗れなかったら、指定席代はムダになる?
-
ユーレイルでは、60分以上の遅延が発生した場合に補償申請ができます。(60〜119分:€12、120分以上:€24)。指定席の振り替えについては現地の鉄道会社の対応次第となるため、万が一のときは窓口に相談してみるのがおすすめです。
いずれにしても「指定席代(約2,000円)を失うリスク」と「個別チケット代(数万円)を失うリスク」を比べると、ユーレイルパスのほうがトラブル時のダメージは小さいといえます

イタリアの高速列車フレッチャロッサ(Frecciarossa)デジタル版ユーレイルパスの使い方|有効化を忘れずに
ユーレイルパスは、駅で紙の切符を打刻する必要はありません。その代わり、乗車前にアプリで「この列車に乗る」と設定して、有効化する作業が必要です。
これを忘れたまま乗ってしまうと、パスを持っていても無賃乗車とみなされる可能性があるため注意が必要です。
駅で機械を探す必要がないのは楽ですが、乗る前にスマホで有効化することだけは、忘れないようにしておくのが大事です。
| ヴェネツィア・メストレ → ミラノ中央駅 | |
|---|---|
| 所要時間 | 2時間15分(13:30→15:45) |
| 列車 | フレッチャロッサ FR9729 |
| 乗り換え | なし |
| 備考 | 座席予約必須 |
乗る列車が決まったら、右側のスイッチをオンにします。これでQRコードが表示されるようになります。これがデジタル版の「打刻」です。スイッチが黄色になっていればOK。車内で検札があったときは、このQRコードを提示します。
結論|ユーレイルパスは「旅のゆとり」を買う選択だった
ユーレイルパスは、単なる移動の切符ではなく、私にとっては旅のゆとりを買う手段でした。
予定変更のしやすさ、遅延・ストライキのときの安心感、「この街もう少しゆっくりしたい」と思ったときに動けること。そうした小さな余裕の積み重ねが、旅全体の心地よさにつながりました。
こんな人には特におすすめです。
- 予定変更や遅延に柔軟に対応したい
- 2カ国以上をまたぐ移動がある
- 気分で立ち寄る街を変えたい
- 現地でその都度チケットを買う手間を減らしたい
反対に、旅程が最初から固まっていて安さを最優先したい人には、個別チケットのほうが合うと思います。
効率や最安よりも、少し自由で気楽な旅をしたいなら、ユーレイルパスは十分に選ぶ価値があると思います。
※料金・補償制度・予約ルールは変更される場合があります。最新情報はTrenitalia・Italo・Eurail公式サイトをご確認ください。
まとめ イタリア4泊5日完全ガイド
ローマ・フィレンツェ・ヴェネツィアを実際に周遊した経験をもとに、4泊5日のイタリア旅行に必要な情報をまとめました。
